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技術系会社のCEOブログ~私的編~

2017年は「WEBブランディング広告」元年になる。その理由。媒体編

年末なので来年の話をして鬼が大爆笑する記事を書こうと思います。

ずっとまえから
「WEBブランディング広告」について考えていました。別に「ブランディングWEB広告」でもどっちでも。

一旦、「WEBブランディング広告」ということの定義を揃えておくと、
「WEB広告で認知度や理解度、好意度を上げるための広告」という認識で読み進めてください。

その逆に「獲得系広告」がありますが、それは議論しません。

次のような流れで説明を進めたいと思います。

  1. ブランディング広告と、そのための媒体要件について
  2. インターネットについて

ブランディング広告とは

こちらも定義を揃えておくと、
「その目的として、認知度や理解度、好意度を上げるための広告」としておきます。
そもそも、なぜ広告を出すかというと、
「売上を上げるため」です。
売上を上げるためには、という議論のその中に、
「認知度や理解度、好意度を上げる」
という中間目標があります。
そしてそれを達成する広告を「ブランディング広告」とします。

では、この「認知度や理解度、好意度を上げる」目標を達成する媒体の要件を考えていきます。

【認知度を上げる】たくさんの人に見せる

認知度ということを定義すると、
「そのブランドの知られている割合」
式としては
認知度 = そのブランドを知っている人 / 全ての人 (or ターゲットユーザー)
となります。
認知度を上げるには、
そのブランドを知っている人
を増やすか、
全ての人 or ターゲットユーザー
を減らすかという方法で認知度を上げます。
商品開発の時点で後者が行われるとしたら、前者を広告で行うことになります。
となると、

  • どれだけ多くの人に見せるか
  • 何回見せるか
  • どのようなものを見せるか

の3点がポイントになります。
このうちの前者2点が媒体に依存するものとなります。

なので、「認知度を上げる」媒体の要件としては、
「多くの人に何回も広告を見せられる媒体」
ということになります。

【理解度を上げる】長い時間見てもらう

理解度を定義すると、
「そのブランドの特徴を知っている人の割合」
式としては、
理解度 = そのブランドの特徴を知っている人 / そのブランドを知っている人
となります。
前述の通り、分母を下げることに意味はないので、
分子を増やす必要があります。
ブランドの特徴を知るには、

  • どれだけ長い時間みせるか
  • 何回見せるか
  • どれだけ詳しく説明するか
  • どれだけわかりやすく説明するか

このうちの前者2点が媒体におけるポイントですが、
後者2点を意識したクリエイティブを入れても不自然じゃないことも媒体の要件と言えます。

なので、「理解度を上げる」媒体の要件としては、
「長い時間見せて、説明するようなクリエイティブを入れても不自然じゃない媒体」
ということになります。

【好意度を上げる】好きなコンテンツがある

「認知度」「理解度」は定性的な部分が多いが、ある程度は量でも考えられました。
「好意度」は直感的に定量的に表現するのが難しいのでむりやり定量化してみます。
まず、何かの割合という風に定義する場合、分母を考えます。
1. そのブランドが好きな人 ⊂ そのブランドを知っている人
2. そのブランドが好きな人 ⊂ そのブランドの特徴を理解している人
これまでの話から上記2つの仮説を考えます。
1はそのブランドを知っている人の中にそのブランドが好きな人がいるが、そのブランドの特徴をよく知らなくても好きになるというケースを含む仮説。
2はそのブランドの特徴を知らなければ好きにならないという仮説。

話は変わって、
「好意度」があるとどういう行動をするかについて考えてみます。
A. そのブランドについて詳しく調べる
B. そのブランドを購入する
C. そのブランドを複数回購入する
この3つの行動パターンがあるとします。
まずひとつ確定するのは、Cの「そのブランドを複数回購入する」です。
当然、そのブランドに何かしらの「好意」をもっていなければその行動はしません。
何かしらの要素としては、質・値段等がありますが、何にしてもその行為には「好意」があります。
残りを考えます。
Aについては好きだけど特徴は良く知らない、だからよく知ろうという意味があります。
Bについては好きだから欲しくなって購入した。
ということが考えられます。
Aはどんなユーザーかというと、
そのブランドは好きなので、深く特徴を知りたい人 (つまり、特徴をよく知らない人)
Bは
そのブランドを好きで特徴を知っているから購入する人、もしくは特徴をよく知らないけど好きだから購入する人
というユーザー像が浮かび上がります。

Aから議論を深掘りすると、
そのブランドが好きな人 => そのブランドを深く知ろうとする人
という関係が浮かび上がります。
しかし、その逆で、
そのブランドを深く知ろうとする人 => そのブランドが好きな人
にはならないかと思います。

Bの議論を深掘りすると、
理解している or 好き => 購入
理解していない or 好き => 購入
という関係になります。
論理図で表すと

理解している 好き 購入
x x x
x o o
o x x
o o o

この論理図より、知っている or 知らないに限らず、好きなら購入するということがいえます。
ここまででわかることは初回購入のプロセスにおいて、
「好きにする」には必須だけど、
「特徴を知っている」は必ずしも必要ではないということがいえます。
もちろん今回は一般的に議論しているので、商品によっては「特徴を知っている」が不可欠になる商品もあるかと思います。
また、「好き」だけど「購入しない」は一旦排除して考えます。

というわけで話を巻き戻すと、
「好意度」の分母は「認知している人」となり、
好意度 = そのブランドを好きな人 / そのブランドを知っている人
となります。

次にそのブランドを好きになってもらうには、

  • 雰囲気が好き
  • 自分の好きな人がそのブランドを好き
  • 使ってみて良かった

このうち媒体のみで達成できるポイントはありません。
ただし、前者2点はクリエイティブで達成し、それが媒体に合っているかどうかに依存します。

なので、「好意度を上げる」媒体の要件としては、
「ターゲットユーザーが好きになるような雰囲気を作れる媒体」
ということになります。

ブランディング広告と媒体要件まとめ

というわけで、長くなりましたが
改めて定義すると「『ブランディング広告』は『認知度や理解度、好意度を上げる』ための広告」
で、
そのための媒体要件は

  1. 多くの人に何回も広告を見せられる
  2. 長い時間見せて、説明するようなクリエイティブを入れても不自然じゃない
  3. ターゲットユーザーが好きになるような雰囲気を作れる

となります。

インターネットについて

上記で、一旦「ブランディング広告」とそれを達成するための「媒体要件」について議論をしました。
次に、大きなタイトルにある「WEBブランディング広告」ということから、
「インターネット」について議論を進めたいと思います。

インターネットは媒体なのか?

色々なところで議論がされているかと思いますが、
ここは「媒体ではない」として話を進めていきます。
じゃあ、「インターネット」はなんなのかというと、個人的には「概念」かと思います。
もう少し掘り下げると、
Google」は「媒体」
Yahoo!」も「媒体」
となります。
それでは、いわゆる4マス(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)と呼ばれるものは何か。
これは「媒体」です。
それでは、「Google」や「Yahoo!」にあたる「インターネット」は、4マスだと何になるでしょうか。
それは下記の表で表されます。

概念 媒体
インターネット GoogleYahoo!
放送 テレビ、ラジオ
出版 新聞、雑誌

インターネット広告について

それでは、インターネットの配下にある媒体が、
ブランディング広告」の要件を満たしているかどうかを考えていきます。

Googleの場合

Googleはどんな媒体なのかまずは考えてみます。

  1. 検索エンジンとしての媒体

について考えます。
GoogleのUXは、次のフローで行われます。

  1. 知りたい情報を決める
  2. Googleにアクセスする
  3. 検索ワードを入力する
  4. 検索結果を確認する

というような流れとなっております。
最後のフェーズである検索結果に広告が差し込まれます。
では、ここが「ブランディング広告」に向いている「広告枠」かどうかを判断します。
まずは、

  • 多くの人に何回も広告を見せられる

を考えます。
広告に接触する人 => Googleの利用者数
と定義すると、
検索エンジン 日本でのシェア「1位はYahoo、2位はGoogle」?
こちらのURLより、2015年には4,735万人が利用しているそうです。2016年7月にはさらに60%増ということで、
「多くの人」という要件は達成しているかと思います。
広告に触れた回数 => Googleのフリークエンシー
と定義すると、こちらは1 ~ ∞で制御することができます。
なのでやろうとすれば、
「何回も見せる」ということは容易にできます。
つまり、

  • 多くの人に何回も広告を見せられる

という定義は達成することができ、
検索エンジンとしてのGoogleは「認知度」を上げるために利用することが可能といえます。
では次に、

  • 長い時間見せて、説明するようなクリエイティブを入れても不自然じゃない

という要件を考えてみます。
UXの最後である、

  • 検索結果を確認する

その次を考えてみると、

  • 検索結果で表示された先の記事にアクセスする

となります。
記事はその性質から「長い時間見せて、説明するようなクリエイティブ」というものにすることが可能です。
なのでそのクリエイティブを入れられるGoogle

  • 長い時間見せて、説明するようなクリエイティブを入れても不自然じゃない

という要件も達成し、「理解度」を上げるための媒体にもなります。
では、最後の

  • ターゲットユーザーが好きになるような雰囲気を作れる

ここについて考えてみます。
UXの発端を考えると、

  • 知りたい情報を決める

が先頭に来ています。
となると、Googleを利用するユーザーはあくまで、
「情報がほしいから利用する」
というユーザーでしかありません。
(おそらく)Googleが好き!みたいな気持ちで、Google検索エンジンを使う人はいないかと思います。
一方、
「知りたい情報」がブランドネームであったらどうなるか。
それは、「既に好意を持っているユーザー」による検索となります。
これらを考慮すると、
Google

  • 情報を提供するためには利用可能
  • 既に好意を持っているユーザーがどれくらいいるかを図るためには利用可能

となります。
では、Googleを利用して好意度を上げるためにはどうしたらよいか、
それは、検索先に出てきた記事で好意度を上げるように制作する。
が正しい戦略かと思います。
つまり、その先のコンテンツを
「理解度を上げる」ためのコンテンツにするか「好意度を上げる」ためのコンテンツにするか、
もしくは両方を達成するかの2つとなります。
しかし、元々情報が欲しくて訪れたユーザーに対し、
ターゲットユーザーに好感が持たれているタレントを押し出したり、
おもしろコンテンツを押し出すというのはGoogleのUX上どうなのかという議論もあります。
そう考えると、素直に「理解度を上げる」コンテンツを提供した方が相性が良いかと思います。

Googleという媒体についてまとめると、
「認知度・理解度を上げるには適している」
「好意度を上げられないことはないが、そのコンテンツとGoogleの相性はそこまで高くない」
ということがいえます。

インターネット広告は「ブランディング広告」を達成する可能性があるか

インターネットという概念の下にあるGoogleという媒体だけで考えてみましたが、
「認知度」「理解度」を上げるためのハードルとしては、
そこまで高くないのかなと感じます。
一方で、
「好意度」を上げるためのハードルがありました。
というのも、やはり利用の発端が、
Googleの場合で「情報がほしいから利用する」というものから始まることが、
その先のコンテンツ制作の幅を狭めている要因になります。
では、このUXフローの最初が、
「目的がなく、なんとなく見る」や「見たいものがあるから見る」
という利用方法になった場合、好意度を上げるコンテンツの挿入に不自然ではなくなる可能性があります。
ただし、「見たいものがあるから見る」という方向性を考えた時に、
広告によって「見たいものを見る邪魔をされた」という考えになります。
となると、
「好意度を上げる」ためには「目的がなく、なんとなく見る」という媒体に限られてきます。

ここまでを総括すると、
「目的がなく、なんとなく見る」という媒体にたくさんの人が長い時間見るという状況が達成されれば、
ブランディング広告を出稿できる媒体になるといえます。

媒体編の終了

というわけでこれまで、

  • ブランディング広告」を出稿できる媒体の特徴について
  • 「インターネット広告」が出稿できる媒体になりえるか

について議論を進めてきました。

だけど、話はここで終わりではありません。
というのも、さらにもう一段階、
媒体のコンテンツ
という点についても掘り下げる必要があります。
特に「好意度」に密接に関わってくる話となります。
階層としては、
概念 > 媒体 > コンテンツ
となり、今回は媒体まで説明しました。

来年、コンテンツ編についてしっかりまとめて、
2017年「WEBブランディング広告」元年になるという話をやれたらやろうと思います。