nigoblog

技術系会社のCEOブログ~私的編~

物理とマーケティング、4つの関係

今回は物理とマーケティングについて4つの関係を考えてみます。

ダン・コブリー:マーケティングについて物理が教えてくれたこと | Video on TED.com
ちなみに参考はこちらのTED
ここでは4つの物理のテーマからマーケティングに結びつけています。
動画の方はマーケティングを仕事にしていますが、元々は物理屋だったそうで、自分と境遇が似てるなと思いました。
このような流れで説明します。

TEDの動画で紹介されたもののうち3つと、1つのオリジナルで物理とマーケティング、4つの関係について考察してみます。

F=ma

これはニュートン力学で、一番有名な式ですね。
これを変形すると
a = F/m
となります。
これは質量が大きくなるほどに物体の動くベクトルを変えるには大きな力が必要ということを表しています。
言い換えると質量が大きい物は動かしにくいといったほうがしっくりくるでしょうか。
ここでマーケティングに当てはめると
加速度をポジショニング
質量をブランド力
とします。
つまりブランド力が大きい物ほど、そのポジショニングを変えるのが難しいということです。
もうちょい具体化させると
あの会社は~をしている会社だ。というイメージ(ブランド)がついてしまえば、その後別のことをやるには大きな力が必要だということを示します。
動画ではアーサーアンダーセンアクセンチュアを設立した例を出していました。

ここから考えられることはポジショニングを一度決めたらそこでなんとしてでも勝たなければいけないということがあります。
仮にそこで敗れたとして新しいことを始めるには多大なパワーが必要です。
最近だとC to C系のアプリが流行っていますが、まさにどこのポジションを狙ってブランドを確立していくかが重要なとこだと思います。他にもカメラアプリなんかもこの例でブランドの確立は重要だと感じます。

ハイゼンベルク不確定性原理

これは素粒子の位置と運動量を正確に決定するのは不可能ということを表しています。
その理由としては測定の影響により、その素粒子を動かしてしまうため元々の位置をつかめない。
つまり測定結果自体が計測に影響をおよぼすということを表しています。
専門的にいうと素粒子の位置と運動量は一意には決まりません。
マーケティングに当てはめると、
素粒子はターゲットユーザー、測定行為は直接ヒアリングするという行為です。
動画ではインターネットユーザーに何を検索しますかと訪ねてもポルノと答える人はいない。
しかし、検索結果を見ると一番検索されているのはポルノという事実。

結局、ユーザーが何を考えているかどうかはユーザーに聞くよりもデータを見たほうが確実ということを表しています。
近年のデータサイエンティストブームはハイゼンベルク不確定性原理から来てるわけです。

考察してもそのままなのでなんともいえませんが、ハイゼンベルク不確定性原理により、ユーザーにヒアリングするためのソリューションよりもデータを提供するソリューションのほうが効果が正確であることを表します。
最近ではIVSに出ていたplanBCDやUSERDIVEが評価されていましたが、今後ますます需要は高まるでしょう。

エントロピーは常に増加する

物理学でいうエントロピーは一言で言うと無秩序さということです。
熱力学第二法則ではこのエントロピーが増大するということを示します。
(ちなみに情報工学においてエントロピーは情報量の不確実さで、何が起こるかわからない状態において最大になります)

そんなエントロピー、マーケティングにおいても同様のことがいえます。
マーケティングにおいてブランドは常に拡散していきます。
以前はある人がブランドについてメッセージ一つでブランドイメージを決めていく。
しかし、現在は各々がどう考えていくかによってブランドのイメージはどんどん変化していきます。

例えば、あるアプリを開発した時、開発者や企業は自分が使ってほしいというイメージによってブランドを決定します。
しかし世に流れ使われていくうちに、別の影響力のある方や、大多数のユーザーによってそのブランドイメージがどんどん変化していきます。
そしてこれは自然の物理現象であるため止めることは出来ません。

最近の例でいうとツイキャスなんかは現在中高生がメインのユーザーとなっております。
はたして、元々は本当にそのターゲットを狙っていたのでしょうか。

仮に狙っていたターゲットが同じだとしたらものすごいことですが、違っていたとしても熱力学第二法則によりそれは当然のことです。
大事なのはブランドイメージが変わったとして今度はそのブランドのままいかにそのユーザーを満足させるかが大事なのではないでしょうか。

元々考えていたユーザーと違った!だからその層により使ってもらうように広告を打つ!
よりも
元々考えていたユーザーと違った!けどそのユーザーに対して満足の行くように努力しよう。
のほうが結果たくさんの方に支持されると思います。
ツイキャスはそこをうまくやっているなと本当に感じます。

波動方程式

波動方程式は波の状態を空間と時間で記述する方程式です。
マクスウェルの方程式により導くことができます。

波動方程式は時間によってその空間の状態を表すことができます。
言い方を変えるとある地点での状態が時間によって変化するということを表します。

マーケティングに置き換えると、あるメッセージを発信した時、そのメッセージを受け取る人は時間によって変化するということです。

マーケティングにおいてキャズムという考え方があります。
これはアーリーアダプターとアーリーマジョリティの間に溝があり、それを超える戦略が必要ということです。
最初に面白がって使う人と、そこから一般的に使っていく人の間には深い溝(キャズム)があります。

最初はアーリーアダプターに対してメッセージが届きますが、アーリーマジョリティに対してメッセージが届くのは波動方程式上で考えると時間的な要素がどうしてもかかってしまうということを表します。
諦めずに発信し続けることが大事なのではないでしょうか。

キャズム理論はバンドギャップの理論にも例えられそうな気がするのでいずれ言及したいと思います。

まとめ

いろいろ物理現象とマーケティングについて考えてみました。
ほとんどは動画の受け売りですが、その具体例は自分の身近なところに置き換えられたかと思います。
自分で考えた波動方程式の部分はやはり浅くなっていますが。。。

最初に紹介した動画はこれまで自分が勉強してきた物理を今後マーケティングにも活かしてみようと思うきっかけになりました。
何度も見返して、自分なりにも何かしら結びつけてみようかと思います。

参考図書

大人のための高校物理復習帳 (ブルーバックス)

大人のための高校物理復習帳 (ブルーバックス)

F=maなら高校物理でも

量子力学〈1〉 (基礎物理学選書5A)

量子力学〈1〉 (基礎物理学選書5A)

ハイゼンベルク不確定性原理量子力学を。
大学時代はこの教科書を使っていました。

熱力学は基本レジュメだったので何がよいやら。。。

電気磁気学 (電気学会大学講座)

電気磁気学 (電気学会大学講座)

マクスウェル方程式は電気磁気学から。
未だにマクスウェル方程式は全部言える気がします。