2016年の私的人工知能論
お正月、並びにこの3連休はほぼインプットに時間を費やしていました。
今後の考えを整理する意味で、簡単にまとめます。
(その筋の専門家ではないため、あくまで解説ではなく考えと捉えてください)
【人工知能】
2016年は人工知能元年です。
人工知能をもう一段階掘り下げると、
「モンテカルロ」「クラウドソーシング」という2点がキーワードになってきます。
- 確率論で語るか
- インプットの質を高めるか
この2点がキーワードの意味となってきます。
まず、その意味の前に人工知能が果たす役割について考えると、
「人間にとって変わる仕事を行う」
ということになります。
では、どんな仕事を人の代わりに人工知能が行うのか。
それは
「判断する」ということ。
具体的には
- 「広告費をどのメディアに分配すると最適なのか」
- 「資産をどのように分配すると最適なのか」
- 「回路の組み合わせをどのように配置すると最適なのか」
- …etc
のように、何をどのように設定すると最適になるかということを「判断する」
それこそが人工知能の役割になります。
…と、これまでは人工知能というよりも機械学習の話です。
(人工知能と機械学習の混同の話題となりますが、個人的には機械学習は広義の意味で人工知能といえるかと思います)
では、機械学習ではなく人工知能が何を果たすかについて考えると、
- 予測
- モデリング
が一歩進んだ機械学習の形といえます。
それぞれ見ていくと、
予測は、機械学習により最適化された選択により、どういう結果になってなるかを予測するということ。
モデリングは、機械学習により最適化される結果を再現性が取れる形でモデル化すること。
では、その2つがどのように達成されるかに話を進めると、
先に上げているキーワード
が関連キーワードとなります。
機械学習はこれまでの経験(データ)にもとづき、最適解を出すものだとすれば、
それに + α を加えて、予測とモデリングを行うものが人工知能です。
その + α が「確率」と「(人間の)認知からなるデータ」です。
「モンテカルロ」をキーワードに出した理由として、例えばπの値を出すために利用されるアルゴリズムの一つに「モンテカルロ法」というものがあります。
ランダムな値を係数もしくは変数に利用するアルゴリズムが予測の鍵となっており、そのアルゴリズム開発が予測の精度を高めます。
「クラウドソーシング」をキーワードに出した理由として、機械の苦手なものは「推論・演繹」と「認識」です。
そのうちクラウドワーカーが担う部分は「認識」を行います。
つまり人工知能が担う予測といった部分に「認識」のデータを大量に差し込むことにより、予測の精度が高まります。
モデリングに関しては、
「予測の精度」を高め、予測の精度が最大化された時のモデルが再現性の取れるモデルです。
結論としては2016年次のようなことが起こります。
次にその結果、仕事はどのように変わっていくかを考えます。
【人工知能と仕事】
人工知能が発展した上で、仕事がどのように変わっていくか。
まず人工知能がすることをおさらいすると、
- 「予測」
- 「モデリング」
となります。つまり、上記2点を主業務にしている人は仕事を奪われ、人工知能をうまく扱う人がより上手く稼いでいきます。
今、自分がいる広告業界について考えると、
人工知能が行う領域は、
- A/Bテスト
- 予算のアロケーション
- 入札設定含む運用
- マーケティング目標の設定
反対に人工知能が行えない領域は、
- クリエイティブ作成
となります。
結果として何が言えるかというと、
人工知能が出す、目標や運用方法を利用し、
クリエイティブ作成やそのディレクションができる人こそ今後生き残っていきます。
【人工知能とうまく付き合っていくには】
人工知能が何が出来て、何が出来ないのかをしっかり認識する必要があります。
正直にいうと上記に挙げている以上に人工知能が担うことはたくさんあります。
ただ、機械にとって、
- 「推論・演繹」
- 「認識」
が苦手ということはノイマン型コンピュータである以上は変わらない事実です。
ここから逆算すると、何十年、何百年経ってもコンピュータに取って代わらないことが見えてきます。
まずは、自分が今行っている業務は、「人工知能に取って代わるのか」
それを意識して業務を進めてみてはいかがでしょうか。
Jazz漫画「BLUE GIANT」が面白い
- 作者: 橋本エイジ,梅村真也
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
しばらく更新しない間にデザインが色々変わってますね~
より編集しやすく、はてなさんさすがです!
というわけで久しぶりの更新は技術でもマーケティングでもなく漫画ね。
今回紹介する漫画は「BLUE GIANT」
- 作者: 石塚真一
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2013/12/04
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
どういう漫画家と言いますと、
何をやっても長続きしない主人公がJazzと出会って、
サックスを始め、
様々な人と出会い一人前に育っていく物語です。
単行本で読み進めているのですが、
単行本だと最後のおまけページに主人公が成功した後、
関係者がインタビューに答えている描写があります。
またそれがいい感じなのよ~
この漫画のすごいところを上げるとするならば、
音楽漫画の最大の弱点である、実際に音を聴かせられないっていうのがありますよね。
そこでどういう表現を取るかというと、
音楽を聴いている人のリアクションでその良さを表現するわけです。
その描写がまー上手い!
ジャンプ漫画なら聴いている人は裸になってしまうところですが。
(この漫画はこの漫画で好きだけど。)
個人的に一番良いと感じた場面を抜粋しますね。(以下ネタバレ含むので注意)
あるエピソードで主人公が高校を卒業し、
「東京に行ってジャズプレイヤーになる」といいます。
主人公には父、兄、妹がいて、妹は主人公が大好きなので東京には行ってほしくはありません。
そして、主人公は家族を集めそのことを伝えます。
伝えた後、みんなで聴いてみようということになり、父が働いている職場でサックスの実力を披露することに。
そこで初めて主人公のサックスを聴く父、兄、妹。
父、兄は主人公の成長と、演奏する曲に感動し、思わず笑顔になります。
しかし、妹は笑うことは出来ませんでした。
- はっきりわかりました。お兄ちゃんはもうここには戻ってこないんだ
頭から氷水は確実に広告やメディアで人を動かしているものではない。
ものすごくタイムリーな出来事が起こったもんだ。
先日
「広告やメディアで人を動かそうとするのは~」という本を読みました - nigoblog
このような記事を投稿しました。
広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。
- 作者: 本田哲也,田端信太郎
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2014/07/31
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
こちらの本を読んだ感想記事なのですが、最近この本にのってもおかしくないくらいの出来事が起きております。
そう、「頭から氷水プロジェクト」!
これは何人を動かしているかを考えると、
氷水かぶり Coolに難病支援/セレブ続々動画投稿 寄付7億円超 - SankeiBiz(サンケイビズ)
こちらの記事では7億円超と書いています。
改めてこのプロジェクトの趣旨を説明すると、
1. 指名された人は頭から氷水を被るか、$100を寄付するか
2. 実行した人は次に1を行う人を3人指名
といったものです。
7億円超ということは
少なく見積もっても70000人が寄付したことになります。($100以上寄付した人もいるかもしれないが…)
というわけでこのプロジェクトは10万人規模を動かすプロジェクトです。
なので仮に、「広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい」風に書くとしたら
「寄付金額は7億超、著名人をも動かした頭から氷水プロジェクトとは」
ざっくりいうと
- ALSの認知度を上げるキャンペーンとして頭から氷水を被るか$100を寄付する
- 頭から氷水を被った場合、動画はSNSでシェアされ、指名された人は次にこのキャンペーンをする人を3人選ぶ
- SNS上で爆発的に広まり、著名人も参加し、結果的に7億円超の寄付が集まった
このような感じになるでしょう。
さてこのプロジェクトが何故10万人を動かせたのか考えていきます。
ポイントは
- ALSの認知度を上げるキャンペーンだったということ
- 指名する人が3人であったこと
- 著名人が参加していたということ
- 頭から氷水を被るハードルの高さが絶妙であったこと
かと
ひとつひとつ掘り下げると
ALSの認知度を上げることに参加しているという社会的意義部分で人を動かしているのかと。
また指名する人が3人というのは絶妙に指名しやすく、かつ指名した人全員がやりそうな人数です。
仮にこれが10人となるとうまく行かなかったでしょう。
それに著名人が指名されることも多く、その人から指名されたら断れないという理由もあります。
頭から氷水を被るという行為のハードルが絶妙であったことも広まった理由です。
仮にこれが灼熱の砂に手を突っ込むだと難しすぎて誰もやらない。
水を一気飲みするとかだとその動画をみても面白くない。
つまり動画を見て面白いかつ、やるハードルが低いというのもこのプロジェクトの成功理由です。
この絶妙な部分を思いつくかどうかが企画者としてのセンスが光りますね!
というわけで、広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい風に頭から氷水プロジェクトを考えてみました。
「広告やメディアで人を動かそうとするのは~」という本を読みました
内容をがっつりネタバレしてもあれなので良かったところを
この本の良い所は広告やメディアではなく、じゃあなにが人を動かす要素なの?
というところを書いているところなのですが、
かつそれを動かす人数別に書かれているところが良かったなと。
1,000人から始まり、
10,000人
100,000人
...
10億人
までを動かした具体例から必要な要素を洗い出して書かれています。
印象に残ったのは人を動かそうとするために、広告をうつのではなく風潮を変えていくというところがありました。
これまでは
「Aという理由で〇〇は売れない」といったところを
「だけど本当はBだった」
なので
「〇〇を買いましょう」
というようなストーリーを展開する。
そのように人を動かすという方法が印象的でした。(本当はBだったまで持っていくための手段が秀逸、このへんは本を読んでいただければ)
内容とは関係無いですが、各章毎に「ざっくりいうと」というリード文があったことが良かったなと。
これはLivedoor newsにもありますよね。
というわけで気になる方は読んでみてはいかがでしょうか
広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。
- 作者: 本田哲也,田端信太郎
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2014/07/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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キャッチコピーについて思うこと
最近は完全にアドテク界隈にいます。
こういつもアドテクの話をしていると、広告ってなんだっけということについて考える時間も増えていきます。
アドテクはインターネット広告の話。
アドテク界隈にいると、数値や技術だけに目を向けるような風潮(というか実際にそれが一番重要なのだけど)があるかと。
それはそれで全然問題ないどころか、あらゆるソリューションでどんどん改善していきたいという思いがあります。
アドテクから一歩引くと、広告業界全体という目線になります。
そこにはTVCMや、新聞雑誌、また駅のポスターまで色々あります。
そのなかで共通して重要なものはキャッチコピーであると感じています。
CMでは映像 + 音 + キャッチコピー
新聞雑誌では画像 + 文章 + キャッチコピー
駅のポスターも同様に画像 + 文章 + キャッチコピー
一方でインターネット広告の場合
配信面 + クリエイティブ
が重要かと。(その配信面やクリエイティブを最適化するのに最新のアドテクが使われている)
さらにインターネット広告の場合、
その効果も追えるので、テクノロジーだけで最適化が出来るという状態です。
別にそれが問題でもなく、かつ広告主側もいくらでどれくらいの効果が出ているか定量的に出る広告というのを求めています。
それに応えた形でアドテクは発展していきました。
というわけで何が言いたいのかをそろそろいっておくと、
「インターネット広告は本来ユーザーに何を伝えたいのかを失っている」
という感じがします。
よくインターネット広告は「ウザい」といわれております。(アドブロックみたいなエクステンションもあったり)
その要因が特にメッセージを伝えるわけでもなく「誰に何を表示させれば効果が上がる」ということに特化させすぎたというのが要因ではないかと。
じゃあどうすればいいか。
それはもう少しクリエイティブにメッセージを持たせられればいいのではないかと。
女子なら誰もが共感してしまう、せつないコピーと鮮やかな色彩が印象的な「ルミネ」の広告まとめ - NAVER まとめ
若者よ、旅へ出よう。青春18きっぷキャッチコピーまとめ14選 | 株式会社LIG
自分はこれらのまとめを見て、本来広告ってこういうものなのかなという認識をしました。
これほどメッセージ性のあるクリエイティブを自分はインターネット広告では見たことがありません。
今までインターネット広告で印象に残ったものってありますかね??
自分はないかなーって感じ。
(全部書き終わってから思い出したけど、Greenの「ちきしょう転職だ」と同じく転職系の「うわっ私の年収低すぎ...?」はインターネット広告発っぽいけど印象に残ってたw)
最終的になにが言いたいのかというと、インターネット広告においてもキャッチコピーというのを大事にして、一つの商材に対し強い印象をもたせたい。
そういった環境が出てくるとインターネット広告ももっと受け入れられる存在になる。
そんな気がします。